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コンペ概要

フィンランドでは、社会保険庁から、9ヶ月になるまでの赤ちゃんとお母さんに必要な備品が一つの箱に入って、赤ちゃんが生まれる前に贈られます。パッケージはボックスの中にベビー服やタイツ、シーツやマット、タオルなどが入っていて、北欧特有の可愛らしいデザインが施されています。またボックスは赤ちゃんのベッドにもなるように設計されています。
今回はこのベビーパッケージを9ヶ月使用したあとの使い方のアイディアを募集しました。赤ちゃんの成長とともに、ボックスがベッドから本棚や椅子など別のものに変化するとしたら、どの様な使い方があるのでしょうか?みなさまから応募いただいたアイディアをご紹介します!

コンペの目的

1. ものを大切にする心を育てる
2. ものづくりの楽しさを味わう

応募期間

2018年4月2日(月)〜2018年5月1日(火)

応募総数

27点

作品提出形式

A1サイズ(841×594mm)のパネル1枚

審査内容

提出作品の中から審査員各自持ち点10点を作品に配点(1作品につき最大配点3点)。配点数により順位を仮決定し、審査員による審議の結果、最優秀賞1点、優秀賞1点、準優秀賞2点、審査員特別賞4点を最終決定しました。尚、審査員を予定しておりましたミンナ・ケメル = クトゥヴォネンさんは、急遽参加が出来なくなったため、ギャラリーエークワッド賞に変更し表彰させていただきます。

招待アーティスト

中村好文(建築家)+ 須藤直美
ひびのこづえ(コスチューム・アーティスト)
手塚貴晴 + 手塚由比(建築家)
株式会社三角屋
池田晶紀(写真家)+ やまねりょうこ(イラストレーター)

審査員

ユッカ・シウコサーリ(駐日フィンランド大使)
ひびのこづえ(コスチューム・アーティスト)
手塚貴晴(建築家)
白川裕信(公益財団法人ギャラリーエークワッド 館長)

全体評

この箱は箱におとなしく収まることに飽きた段階の子供達の居場所として設計されている。親のための箱ではない。子供達が歓声を上げて遊ぶ情景が容易に思い浮かぶ作品が、入選作として選ばれることになった。
(手塚貴晴)

赤ちゃんが生まれ最初にBEDとして使える箱が
子供の成長に合わせ家族の宝物になり
いつもそばにいてくれる事が
一番の使い道だと思いました。
どのアイディアもそれを叶えて素敵でした。
(ひびのこづえ)

ベビーパッケージを9ヶ月使用したあとの使い方についてアイディアを募集する、という内容のコンペでした。多くの方にエントリーをいただき、27作品集まりました。提出された作品の構成は大きく3つに分類されます。ボックスのかたちを残したままで用途を変える提案、ボックスの一部を切り取ることで生まれる新しい用途の提案、ボックスの素材を変えて使い方を更新していくことができることまで考えた提案です。その目指す目的は多様で、成長した赤ちゃんがそのまま使い続けられるもの、家族の絆を繋ぐもの、心を育てたり、別の生命の居場所になったりと、こちらの想像を超えて豊かなアイディアが満載でした。フィンランドのベビーパッケージ、多様な議論を生み、創造性をかきたてる含蓄の深い贈り物ですね。
(白川裕信)

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最優秀賞

家族ポスト
pg(神奈川県/女性/53歳)

親から子へ、子から親へ、口では伝えにくいこと、絵で伝えたいことを「伝える」ための箱。父や母、兄弟姉妹、そして自分宛ての手紙を入れてもらえるように、家族分のスペースが作られています。

優秀賞

私が育った机
白井愛佳(埼玉県/女性/22歳)

子ども達が絵を描いたり、絵本を読んだりするための机を、作り方付きで提案。机には絵本を収納出来るスペースもあります。パッケージのデザインを生かすための工夫が凝らされたアイディアです。

準優秀賞

ベイビーボックスといっしょに成長
junkokondo1(フィンランド ヘルシンキ/女性/39歳)

ベビーパッケージがおむつや小物などを入れる収納ケース、ぬいぐるみなどを飾る棚、仕切りを追加してドールハウスに変身と、子どもの成長にあわせて3段階の使い方が出来るアイディアです。

準優秀賞

だんだん・ころりん
大塚愛加/佐藤史織/降矢桃果(埼玉県/女性/20歳、21歳)

ボールが箱の中をだんだんと転がっていくという幼児が楽しめるおもちゃに変身。パッケージの柄を利用してフォトフレームを作成するリメイク案は、大人になっても嬉しい思い出の作品になります。

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ユッカ・シウコサーリ 賞(駐日フィンランド大使)

missä kissaa? ねこはどこ?
藤田知史(東京都/男性/52歳)

フィンランド大使より講評
今回のコンペ応募作品の中で、子ども本人を直接対象としない将来の用途を考えている唯一の作品であることから、私はこのデザインが気に入りました。猫のクレイドル(またはその他のペット動物のベッド)として使うというアイディアは極めて魅力的です。そのように使用することで理論的にその箱は長年家族のもとに置かれ、子どもとペットの素敵な絆を生み出すと思われるからです。

I liked this design because it was the only one in the competition that included a later use for the baby box that was not related to the child her-/himself. To me the idea of using the box as a cat’s cradle (or a bed for another pet animal) is really appealing, because in theory the box could then stay in the family for a long time and its would create a nice bond between the child and the pet(s).

ひびのこづえ 賞(コスチューム・アーティスト)

キャリーワゴン
荒井理子/井戸麻衣/天野晴花/嶋田珠々/三橋咲希
(埼玉県/女性/19歳、21歳)

ひびのこづえ氏より講評
審査員特別賞に選んだ理由はあまりに絵がほのぼのと可愛かった事。お出かけに使うのは難しいですが、タイヤをつける小さなアイディアで運ぶのが楽になり、最初はオモチャ入れ、成長するにつれ学校で使うもの、大人になったら趣味のもの、いつも部屋の中で簡単に動かせます。もしかしたら時々テーブルにもなるかも。

手塚貴晴 賞(建築家)

かぞくてつどう
今井貴憲/小島雄大(埼玉県/男性/22歳、23歳)

手塚貴晴氏より講評
どんどん子供が増えていくイメージが溢れていて実に微笑ましい。少子化の昨今非常に結構なことである。色には種類があって兄弟それぞれが別の色を持てると楽しい。四人兄弟姉妹ぐらい行けそう。箱を貰えたとしても育てるのは大変だと思うが。

ギャラリーエークワッド 賞

いっしょにのびよう!うえきばちパッケージ「Glow」
工藤優香(埼玉県/女性/26歳)

ギャラリーエークワッド館長より講評
大切な命を育んだボックス、植物という新たな生命の居場所となり、成長した断片は思い思いに大空を舞い、やがて地上に降り立って土に還り、大地の栄養をいっぱい吸収して新たな生命を宿す。人から植物へ、生命の循環はつづき、永遠に時を刻み、心を育む、この壮大な構想に賛辞を送ります!

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