久住有生-新しい左官表現
SAKAN Art “Crushed Rammed Earth “ by Naoki Kusumi

名匠・久住章を父に持ち祖父の代から続く左官の家に生まれ、三歳で初めて鏝を握り、父の背中を見て育った久住有生。左官は伝統を丁寧に継承しながらも、常に新しい表現を求め、革新を起こしてきました。有生もまた、現代の名工として挑戦を続けています。今回の新作は伝統的な版築工法による作品「土の造形」と、荒壁仕上げによる「土の門」の二作を紹介しています。

土の造形(版築)久住有生作

「土の造形」

太古から続く土を固める技術「版築」。コンクリートのように型枠を組んで少しずつ突き固めた層が織成す土の表情が魅力です。これを崩し、裂き、土の粒子が崩壊寸前の状態で維持する面と対比させています。土が醸す柔らかい繊細さと荒々しさの双方を意図的に組み合わせる手法は、建築の境界を超えてアートの領域にまで広がりました。

土の門 久住有生作

「土の門」

会場入り口に設置された門型の造形は、オープニングイベント「美を創る匠の技」として公開制作され、完成した。木下地に金網を配してモルタルを塗付け、荒壁を塗って仕上げています。作品は土が乾くと共にひびが表れ、独特な繊細ながら柔らかく力強い表情を醸し出している。