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THE SIX CATEGORIES
For the Future

 

未来的なテーマを取り上げることは、どの時代においても難しいことである。その時代に輝かしい将来を見通しているように思えても、10年、20年、さらに半世紀を経たときに、どのように評価されるかは不透明である。しかし、いつの時代でも明るい未来を描くために、多くの人の智恵が結集され、人類は様々な課題にチャレンジしてきた。『approach』では、1967年のモントリオール博から、2005年の愛知万博まで、各国で開催された万国博覧会をレポートしてきた。1970年の大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」、1985年の科学万博は「人間・居住・環境と科学技術」、2005年の愛知万博は「自然の叡智」と、万博のテーマを振り返ると各時代の課題が浮かび上がってくる。その他に未来へつながるテーマとして、ドイツの東西の壁が解体して7年目に「ベルリン―新旧の激突」(1996年 冬)をレポート、或いは1960年代のニュームーブメント「メタボリズム」(1991年 冬)を30年以上経て取り上げ、活動の意味を改めて検証した。

 

1970 春 EXPO’70
1851年ロンドンで開催された第1回の万国博覧会から1970年の大阪万博までの120年間は、技術革新が目覚しい時代であった。そのため万博は人類の成し遂げた科学技術の成果を誇示する場であった。しかし大阪万博では、技術や工業力の成果だけでなく、人間の豊かな心と叡智によって、明日の人間環境の姿を描き、それを実現するために開発されたテクノロジーが注目された。

 

1991 冬 メタボリズム1960-1990s
1960年に東京で開催された世界デザイン会議の準備を契機に、若い建築家中心にメタボリズム・グループを結成。メタボリズム(新陳代謝)という用語を用いて大胆な都市未来像を描いたその活動は、広範な領域に影響を与えた。30余年を経て、川添 登、大高正人、菊竹清訓、槇 文彦、栄久庵憲司、粟津 潔、黒川紀章がメタボリズムへの思いを語った。

 

1996 冬 ベルリンー新旧の激突
1989年の東西の壁解体から7年、ベルリンは街全体が大きな工事現場となった。古い建物は改修を待ち、瓦礫は再利用の時を待つ。市内の各所にクレーンが建ち並び、市民は連日マスコミや講演会で建築について議論を交わした。戦後50年にわたる東西の緊張の時代を経て、ベルリンは2000年の首都移転に向けて、国際色豊かな建築家たちにより大改造が行われた。