このテーマでは、ライフスタイル、医療、高齢化社会、教育など、生活や暮らしに関わる様々な課題を取り上げている。高齢化社会や教育問題、健康や医療への関心などは、創刊当初の1960年代よりも、1980年代以降、豊かになった日本人の暮らしの中で重要な位置を占めてきている。1970年代にアメリカのアダルト・コミュニティを特集した「ロスモアのコミュニティづくり」(1974年 秋)の時代は、日本ではまだ高齢化社会の問題は大きな記事ではなかった。しかし「北欧から何を学ぶか」(1999年 夏)の時代には、翌年から始まる公的介護保険を目前に、各国の現実的な取り組みが注目された。医療問題・教育問題に関わる特集は特に近年多くなり、「メイヨー・クリニック」(2006年 春)、「スウェーデンのものづくり教育」(2007年 夏)、「教育の多様性を考える」(2007年 秋)、「マギーズセンター」(2010年 冬)、「医療による都市再生―ピッツバーグ大学医療センター」(2012年 秋)など、いまや最も重要なテーマとして位置づけられている。
2002 秋 つばた夫妻のスローライフー未来は「なつかしさ」の中に
1960年代に計画された愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウン。計画に参画しそこに暮らし続ける、つばた夫妻の住まいは300坪、丸太小屋の母屋に蔵と小屋があり、敷地の3分の2を畑が占める。21区画に分けた畑と周辺の樹木から、約120種もの野菜や果物が収穫できる。つばた夫妻のスローライフを紹介した(P14参照)。
2010 春 ヴァージニア・リー・バートンー時代を超えて生き続ける『ちいさいおうち』のメッセージ
バートンの絵本『ちいさいおうち』は今も世界中で多くの子どもたちに読み継がれている。田園風景が開発の嵐によって大都会へと変貌し、小さな家がビルの間に取り残される。しかし再び美しい田舎に移されて幸せと輝きを取り戻す。この物語は20世紀の都市化・工業化による時代の変遷を描いている。
2010 冬 マギーズセンター―生きる力を取り戻す建築
日本では二人に一人、イギリスでは三人に一人(約200万人)ががんを患っている。1996年エジンバラにがん患者支援施設「マギーズセンター」が、がんで亡くなった造園家マギー・ケズウィック・ジェンクスの遺志により造られた。患者や家族が病気についての情報を得られ、生きる喜びをもてる場として、家庭のような雰囲気、心地よい空間が提供されている。